ホビーの方向けのお話です。
抵抗リードなんかを切るときに僕が使っているニッパーはケイバ製のMN-A05(↑画像左)です。
切れ味や刃の厚みや形状バランスなど替えるものが無いと思えるほど好きなニッパーです。高価でもないのでおすすめです。一応プロの端くれが言うので本当です。(と言いながらこれのデザインコピーと思われるモ○〇ロウのもの(↑画像の中と右)も常用しています。刃の合わせ等価格なりなのでグラインダーとヤスリで整形して使用)
ここから本題
仕事で大量のリードを切るのでニッパーは消耗します。僕は研いで使っています。
ニッパーの扱いとして、力を入れて使うやつと繊細な作業をするやつに分ける。繊細のほうは決して先端でこじらない、握りこまない、刃がこぼれそうな固いものは切らない。これを前提として、ニッパーは研いで使えばかなり長持ちします。MN-A05のようなフラッシュカット(切断物のバリが残らず面一で切れるタイプ。当然ですがフラッシュカット刃を使った場合も基板のリードは面一ではなく数ミリ上で切ります)の場合研ぎ方は簡単で、刃を閉じて刃の平面側(フラッシュ側)を両側一緒に#100~200程度のダイヤモンドヤスリでならします。閉じた合わせ部分に光を透かして隙間を確認しながら研ぎ足します。隙間がある場合は隙間のないところを研ぎ足します。構造的には平面側だけ削ると支点側に隙間ができてくるはずですが、必ずしもそうなりません。新品はフラッシュ側にもわずかに刃付けしてありますがそれを研ぎ落としてしまうので研ぐと鋭い刃に(片刃になるためより鋭角に)なります。つまり刃の耐久性は下がります。平面側の刃付けに挑戦してみたこともあるんですが難しくてこの先は刃物屋さんの領域で電気屋の片手間の作業じゃないなと思いました。↓画像はニッパーもヤスリもモノタロウ製です。
刃先先端が隙間が開いてしまっている場合(実験や修理でやむなく先端を使うことがままあります)、少しなら両側先端の外側を刃の隙間がなくなる長さまでグラインダーで削ってしまいます↓画像。これを繰り返すと刃はだんだん短かくなりますが、ニッパー先端は必要な場合は代わりのきかない工具ですので優先します。
他には使い込むと支点軸付近がすり減って軸のカシメが緩んでガタが出てきます。刃がズレるので切れが悪くなるし刃研ぎにも影響してきます。アンビルの上で支点の軸中心ポンチくぼみの周囲を均等にハンマーでたたいで締め増しするんですが実際一周を均等に締められるわけないよなと思いながらやっています。締めすぎ注意。ケイバ製ではありませんが新品からガタのある物はたたいても動きが渋くなっただけでガタが取れなかったです。
ニッパー、特に小型のニッパーは刃物です。ラジオペンチやドライバーと同じ扱いをせずに、刃物として扱いましょう。
作業工具は自分でメンテナンスしてこそ仕組みの理解が深まり実作業のスキルも高くなると思います。
研ぎやカシメは詳しく紹介されているサイトも沢山ありますのでここで紹介するのも今更ですが、やり方の一つとして何かのヒントになればと思います。
*一番上の画像に写っているケイバ製 M-616 ラジオペンチは使い勝手もいいのですがデザインがとても美しくて好きな工具です。ただ、先端ギザが普通と違って両アゴでそれぞれ///と\\\で斜めに交差するように切ってあるので微細な作業では少し慣れが要ります。
ケイバ製工具の宣伝のようになってしまいました。