PCスピーカーの「ピー・・」というノイズの原因(4)

前回からの続きです – (4)。

↓CMC(コモンモードチョーク)を取り付けた現在の接続図(接続図1b)

CMCの効果で「ピー」はかなり小さくなりました。このままでも使用には問題ないレベルと思います。ですが、それまで「ピー」に紛れて聞こえていなかったアンプのホワイトノイズが「ピー」が小さくなったことで実はけっこう大きかったんだなと感じ、気になってきました。

ホワイトノイズはボリュームを絞っても出ているので、ボリューム以降の部分、PCスピーカー内のアンプのゲイン(プリセット40dB)が高すぎるために大きく出ていると思われます。ボリューム部分は 50kΩBカーブのボリュームにオーディオカーブ補正のためと大きすぎるアンプゲインに対応するためのアッテネーター(約24dB)を兼ねた抵抗がついています。このアッテネーターを無くしてその分アンプゲインを下げれば現状のスピーカー音量程度のままホワイトノイズを低減できます。

画像↓ボリューム部分の加工(私物につき加工が乱暴なのはご容赦ください。・・ここは特に乱暴ですね)。

似たようなアンプICのNJM2073のデータシートを参考に外部NFBを追加してアンプゲインを下げます(私物につき加工が乱暴なのはご容赦ください)。画像↓

Rf:4.7k / Rs:820 でゲイン約16dBになり、アッテネーターをなくした分と相殺できましたが、(違う型番なので条件は異なるとはいえ)このデータシート記載での安定動作するゲイン低減の最大量を大分超えてしまっているので、動作が不安定であれば対策をする必要があります。オシロスコープをつないで動作状態を確認したところ、オシレーター1k~2MHzスイープでピークなく穏やかにゲインが下がり、出力クリップ時のリンギングもないので、(私物ということで)特に対策はしなくてOKとしました。

結果、ホワイトノイズは聞こえなくなりました。小さく残っていた「ピー」もアンプゲインを下げた分さらに小さくなりました。それでも完全沈黙とはいかずスピーカーに耳をくっつけると小さく「ピー」と聞こえますが、使用状態ではPCのファンの音も加わるのでスピーカーからの音として聞き取れるノイズはなくなりました。パッシブ部品でのローコストな対策(ICなどを使わない対策)としてはこのあたりが限度と思います。

これ以上の対策は、(通販サイトのレビューなどでもすでによく書かれている方法ですが)PCとは絶縁された別なUSB5V電源を用意するというのが最も効果が大きい正攻法ということになります。この差が現れるのは、PCのUSBはノイズが多く外部アダプターはノイズが少ないから、ということではありません。電源0Vが絶縁されているからです。↓接続図1(=対策加工前の図)で少しご説明すると、外部アダプター使用の場合は接続図1でいうところの E1 – G1 接続が存在しません(絶縁されている)。このため(ノイズも含まれているかもしれない)電源電流の経路が P2 – P3 と E3 – E2 (= 5V – 0V) の線間に逃げ場なく閉じ込められていて、 G3 – G2 (接続図1) 側には 5V – 0V 間に存在している(かもしれない)ノイズ電流が流れ込まない → PC側GNDとPCスピーカー側GNDの間にノイズ電圧が発生しない、となります。

参考用(再) 接続図1(=対策加工前の図)

単に結果と方法をご紹介するのではなく、身近な題材でノイズの原因と対策の過程をお伝えできれば面白いのではないかと記事にしてみましたが、わかりやすいものにはならなかったので反省。