ルーペ付きアームライトが点かなくなりました → 修理しました

お気に入りのルーペ付きアームライトが点かなくなりました。LED光の色味がよくて気に入っています。L-ZOOM ルーペ付LEDアームライト 07-6381(オーム電機) 。モデルチェンジして首部分の可動機構が変わり、僕の場合だとちょうどいいセッティングにならないので2022年現行品は使用候補になりません。交換候補を探しておかないと

安易に同機種を買いなおすことができないので、修理しました。
修理は既にざっと終わってしまったのですが、何か加工の参考になるかと(AC100Vケーブル部分は問題が起こると危険ですので安易に手を付けるべきではありませんが)思ったので、この修理について掲載してみます。(写真は再分解して撮りました。ご苦労)

初めは不定期に消えるような症状だったので回路かスイッチの接触かと思って叩いたりしていたのですが、暫く確認しているとヘッド部を下げると消える、上げると点くというのがわかりました。なら関節可動部分の問題=ケーブル断線だろうということで気が楽になりました。(写真は修理後なので下げても点いています)

アーム部を分解。

アームパイプのカバーはカバー両端内側の爪2ヶ所(だけ)でアームパイプに嵌っています。カバーの端をつかんで引っ張ると外れます。固いです。

基部のコードブッシュをコンセントプラグ付近まで移動して、首部分からアーム内部にあたる分のケーブルを引き出します。(写真は修理済みなので前腕部分の外被は取り去ってあります)

この状態でコンセントを繫いでスイッチを入れ各関節付近を中心にそっとケーブルの曲げ伸ばしをして点滅を確認、断線箇所を特定します。(事後なのでここは写真がありません)

断線はケーブルがひじ部分のここに当たっている箇所と当たりがついたのでケーブルを切開して外被を部分的に取り去ります。白電線が断線していました。(肝心の箇所ですが事後なのでケーブルの写真がありません)(*外被の切開加工はこのページの後のほうで触れてみます)

Bスリーブ(突き合わせ端子)の手持ちが無いので端子を切断加工して作ったスリーブで接続しました。はんだ接続のほうが仕上がりが細くて良かったかもしれません。
(事後で現品写真がないので写真用に端切れでサンプルを作成。ご苦労)

芯線を重ね合わせているので断線部分だけ修理するとその分短かくなって引っ張られるので、白黒両方切断して繫ぎなおしました。今回は、アームパイプ内に収めるので接続箇所が太くならないように接続位置をずらしました。接続箇所の絶縁は擦れなどからの物理的な強度も十分確保します。今回はガラスチューブと熱収縮チューブを併用しました。アームを動かしたときケーブルがアームパイプ内で(若干ですが)スライドしているので妨げにならないように接続箇所より先の外被は全部取り去りました。電線被覆および接続部の絶縁部分がパイプ内壁とのスレで破れると危険なのでスパイラルチューブで保護しました。

故障原因としては、特にアームひじ関節部分でこのケーブルに対してこの曲げRで繰り返しの曲げはちょっと苦しいのかな、ということでしょうか。ひじ部カバーでケーブルの逃げが制限されているのもつらいところ。現行品がACアダプター仕様なのはアーム内のケーブル選択がより自由になりますので、コストとの兼ね合いだけではなくてこういう問題の改善も含まれているのかもしれません。

外被(ジャケット)の加工(皮むき)
仕事でケーブルを扱っている方には日常のことですので、ここもホビーの方向けのお話になります。
これに限らないのですが、ケーブル外被(ジャケット)を切るときに重要なのは内部電線の被覆にキズを付けないという点です。
正直こればかりは手の感覚なので数をこなさないと身につかないところなのですが、コツとしては、ケーブルを曲げながら刃を当てて(のこぎりのようには動かさずに)当てる力加減で、切れてくる、というか曲げのせいで外被が引っ張られているので刃のキズから裂けていくような感じです。最初の裂け目が貫通したら曲げ角度をずらしながら刃を当てて裂け目を伸ばしていきます。
縦方向の切開は曲げられないのでこちらは刃を当てるのではなくて浅めに切ります。切りキズの端からニッパー等で掴んで裂きます。

ケーブル断線の修理でやたら長い記事になりました。

ニッパーは研いで使っています

ホビーの方向けのお話です。

抵抗リードなんかを切るときに僕が使っているニッパーはケイバ製のMN-A05(↑画像左)です。
切れ味や刃の厚みや形状バランスなど替えるものが無いと思えるほど好きなニッパーです。高価でもないのでおすすめです。一応プロの端くれが言うので本当です。(と言いながらこれのデザインコピーと思われるモ○〇ロウのもの(↑画像の中と右)も常用しています。刃の合わせ等価格なりなのでグラインダーとヤスリで整形して使用)

ここから本題
仕事で大量のリードを切るのでニッパーは消耗します。僕は研いで使っています。
ニッパーの扱いとして、力を入れて使うやつと繊細な作業をするやつに分ける。繊細のほうは決して先端でこじらない、握りこまない、刃がこぼれそうな固いものは切らない。これを前提として、ニッパーは研いで使えばかなり長持ちします。MN-A05のようなフラッシュカット(切断物のバリが残らず面一で切れるタイプ。当然ですがフラッシュカット刃を使った場合も基板のリードは面一ではなく数ミリ上で切ります)の場合研ぎ方は簡単で、刃を閉じて刃の平面側(フラッシュ側)を両側一緒に#100~200程度のダイヤモンドヤスリでならします。閉じた合わせ部分に光を透かして隙間を確認しながら研ぎ足します。隙間がある場合は隙間のないところを研ぎ足します。構造的には平面側だけ削ると支点側に隙間ができてくるはずですが、必ずしもそうなりません。新品はフラッシュ側にもわずかに刃付けしてありますがそれを研ぎ落としてしまうので研ぐと鋭い刃に(片刃になるためより鋭角に)なります。つまり刃の耐久性は下がります。平面側の刃付けに挑戦してみたこともあるんですが難しくてこの先は刃物屋さんの領域で電気屋の片手間の作業じゃないなと思いました。↓画像はニッパーもヤスリもモノタロウ製です。


刃先先端が隙間が開いてしまっている場合(実験や修理でやむなく先端を使うことがままあります)、少しなら両側先端の外側を刃の隙間がなくなる長さまでグラインダーで削ってしまいます↓画像。これを繰り返すと刃はだんだん短かくなりますが、ニッパー先端は必要な場合は代わりのきかない工具ですので優先します。

他には使い込むと支点軸付近がすり減って軸のカシメが緩んでガタが出てきます。刃がズレるので切れが悪くなるし刃研ぎにも影響してきます。アンビルの上で支点の軸中心ポンチくぼみの周囲を均等にハンマーでたたいで締め増しするんですが実際一周を均等に締められるわけないよなと思いながらやっています。締めすぎ注意。ケイバ製ではありませんが新品からガタのある物はたたいても動きが渋くなっただけでガタが取れなかったです。

ニッパー、特に小型のニッパーは刃物です。ラジオペンチやドライバーと同じ扱いをせずに、刃物として扱いましょう。
作業工具は自分でメンテナンスしてこそ仕組みの理解が深まり実作業のスキルも高くなると思います。
研ぎやカシメは詳しく紹介されているサイトも沢山ありますのでここで紹介するのも今更ですが、やり方の一つとして何かのヒントになればと思います。

*一番上の画像に写っているケイバ製 M-616 ラジオペンチは使い勝手もいいのですがデザインがとても美しくて好きな工具です。ただ、先端ギザが普通と違って両アゴでそれぞれ///と\\\で斜めに交差するように切ってあるので微細な作業では少し慣れが要ります。

ケイバ製工具の宣伝のようになってしまいました。

2022年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | タグ : | 投稿者 : gecko1